意外と重要!動物病院の電子カルテ vs 紙カルテ 就職するならどっち?

はじめに
診察中、あなたが今開いているカルテは紙でしょうか? それともタブレットやパソコンの画面でしょうか?
近年、動物病院でも「電子カルテ」の導入が進んでいます。ヒト医療ではすでに当たり前となったカルテのデジタル化ですが、獣医療の現場では、いまだ紙カルテと電子カルテが混在する“過渡期”にあります。
就職や転職を考える若手獣医師や獣医学生からも、
「電子カルテを使っている動物病院がいいです」 という声をよく耳にします。
私自身も学生時代に15軒以上の動物病院で実習を経験し、その際「電子カルテが導入されているか」は動物病院選びの一つの軸になっていました。また、現在は獣医師として臨床に携わる傍ら、電子カルテのセールスにも関わっており、現場での実際の使い勝手も熟知しています。
この記事では、電子カルテと紙カルテの違いを現場目線で徹底比較しつつ、就職・転職活動での判断材料になる視点をお伝えします。

電子カルテと紙カルテの基本
電子カルテとは?
電子カルテは、診療記録をデジタルデータとして管理する仕組みです。獣医療向けには主に以下の2種類があります。
- クラウド型 :インターネット経由でアクセスでき、場所を選ばず使用可能。バックアップの自動保存が利点。
- オンプレミス型: 院内サーバーで運用。セキュリティ面で強い反面、保守・管理の負担がやや大きくなります。
最近では、診療記録テンプレートや検査機器との自動連携、予約・会計機能を搭載した、動物病院専用の電子カルテも登場しています。
紙カルテとは?
紙カルテは、従来から使用されている手書きの診療記録です。扱いに慣れた獣医師が多く、開業当初から長年使い続けている病院も少なくありません。

「電子カルテのある病院」が若手から人気なのはなぜ?
就職・転職面談で耳にする「電子カルテのある病院がいい」という声。そこには、色々な理由があります。
1. 業務効率が良さそう
- カルテの検索が速い
- 情報が自動保存される
- 会計や受付との連携がスムーズ
こうした仕組みによって、残業時間の削減やストレス軽減が期待でき、働きやすさの指標となっています。
2. 新しいものを柔軟に取り入れる文化
電子カルテを導入しているということは、ITや仕組みづくりに前向きな動物病院という印象を与えます。若手にとっては、「変化に柔軟な組織文化」や「提案が受け入れられる土壌」がある動物病院を選ぶ判断基準になっています。
3. 若い、フラットな雰囲気を感じる
「電子カルテ=若い病院」というイメージから、
- 意見を言いやすい
- 年功序列が少ない
- 教育やOJTが整っていそう
など、風通しのよい職場環境を求める層からの支持を得やすいです。
電子カルテのメリット・デメリット
メリット
- 検索性・保存性が高い ⇒ 過去の診療履歴、薬歴、検査データを一括で確認可能。
- チームでの情報共有がスムーズ ⇒ 受付〜診察〜看護の連携が「見える化」される。
- バックアップや災害対策も可能 ⇒ 特にクラウド型では端末が壊れてもデータは安全。
- ミスの削減と業務の効率化 ⇒ 手書きの誤読がなくなり、診療フローも自動化可能。
ここでよくある誤解として、「電子カルテにすると業務効率がすごく上がる」と思われがちですが、実際のところ効率向上は“ほんの少し”です。それよりも大事なのは、「正しく記録が取れる」こと。
紙カルテでは、忙しさに紛れて適当に書いてしまうこともあります。しかし電子カルテでは入力項目が整理されており、抜け漏れを防げる仕組みになっているのです。
デメリット
- 導入・維持にコストがかかる ⇒ 初期投資、ライセンス料、保守管理など。
- 操作に慣れる必要がある ⇒ 特にベテランスタッフにとっては心理的ハードルに。
- システム障害のリスク ⇒ ネット環境の不調で業務が止まることもある。
加えて、私が危惧する点としてはプライバシー保護の観点です。
紙カルテの場合、盗難・紛失のリスクが常にあります。カルテが見つからずスタッフ総出で大捜索なってこともしばしば、、、もっと悲惨なのは、例えば夜間にガラスが割られ、紙カルテが盗まれたとしたら? あるいは、スタッフがカルテを誤って持ち帰り、SNSにアップしてしまったら?――動物病院の信用問題どころか、存続の危機にもなりかねません。
だからこそ、セキュリティ性の高い電子カルテを導入すべきだと私は考えています。

紙カルテのメリット・デメリット
メリット
- すぐに書ける、直感的に使える ⇒ 手描き図やメモ、アイデアの書き足しが自由。
- 初期コストがかからない ⇒ 開業時の資金負担が少なく済む。
- 停電や機械トラブルに強い ⇒ オフラインで完結できる。
デメリット
- 情報の検索・共有に手間がかかる ⇒ 他スタッフが記録を見つけにくく、引き継ぎも煩雑。
- 物理的に場所を取る・保管が大変 ⇒ 歴史の長い動物病院ほどカルテが山積みに。
- 紛失・劣化のリスク ⇒ 水濡れや火災などで復元不能に。
今後の展望:獣医療のデジタル化はさらに加速
ヒト医療ではすでに標準化された電子カルテ。獣医療でも今後、AIによる診療支援や画像解析との連動など、より高度なデジタル化が進むでしょう。
私たちが提供する「Vet360」も、動物病院のニーズに特化した電子カルテシステムです。記録の効率化だけでなく、セキュリティやチーム連携の向上も視野に入れた設計になっています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ:カルテの違い=病院の姿勢の違い
紙カルテと電子カルテ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
しかし、カルテの形式は単なる道具の違いではなく、動物病院の「診療スタイル」や「働き方」に対する姿勢の表れでもあります。
あなたが「電子カルテのある動物病院がいい」と感じるなら、それは効率的で柔軟性のある環境で成長したいという思いの表れかもしれません。
「この動物病院、電子カルテ使ってるのかな?」
「教育制度ってどんな感じ?」
「福利厚生やお休みは?」
…そんな気になる情報、実習の場ではなかなか聞けませんよね。
パンダキャリアでは、そうした細かい情報を、実習前の段階からお伝えすることが可能です。
もし、電子カルテのある動物病院を探している方や、自分に合った診療スタイルを見つけたいという方は、ぜひ私たちにご相談ください。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの理想に近い職場との出会いをサポートします。
監修

山下偉大
獣医師
パンダキャリア代表
獣医師としてCT完備1.5次病院で診療後、グループ病院の採用担当を歴任。臨床×人事の視点で「パンダキャリア」を創業し、あなたにとってベストな選択肢を一緒に考え、伴走します!