ホーム コラム あなたの病院は大丈夫?ー獣医療広告ガイドライン改正についてー

あなたの病院は大丈夫?ー獣医療広告ガイドライン改正についてー

あなたの病院は大丈夫?ー獣医療広告ガイドライン改正についてー

はじめに

突然ですか、獣医療広告に関する規制が改正されたというニュースは知っていますか?知っていた方々は、内容をしっかりと確認しましたか?
この改正は、動物病院に勤めるスタッフの皆さんにとって重要な問題です。この記事では、改正の背景や具体的な変更点を踏まえながら、私が感じた注意点や気づきを共有します。この機会に、皆さんも一緒に病院の広告内容を見直してみませんか?


そもそも広告って?

広告とは何かと聞かれると、「何となくわかるけど、明確には説明できない」という方も多いのではないでしょうか。広告は、広く情報を発信する手段の一つですが、獣医療広告の場合、具体的な条件を満たすものが「広告」とみなされ、規制の対象になります。

広告として扱われるかどうかの判断基準は、以下の3つです。

  • 誘引性:飼育者等を誘引する意図があること。
    例:治療実績を強調する表現や、キャンペーンを謳う表現など。
  • 特定性:獣医師の氏名、診療施設の名称などが特定可能であること。
    例:特定の動物病院や獣医師を名指しした内容。
  • 認知性:一般人が認知できる状態であること。
    例:広告看板、SNSで不特定多数に向けた投稿など。

これら3つすべてに該当すると「広告」と判断されます。逆に、これらの要件を満たさない場合や、診療施設内の掲示、個別の問い合わせに対するパンフレットの送付などは、広告に該当しないとみなされることが多いです。

動物病院のHPも広告なの?

ウェブサイトについても気になるところですが、基本的に飼い主さんが自らの意思で情報を得るために訪れるウェブサイトは、広告には該当しないとされています。ただし、以下の場合は広告とみなされる可能性があるので注意が必要です。

・検索エンジンのリスティング広告など、費用を支払って検索結果の上位に表示されるもの
・バナー広告や二次元コードから誘導されるウェブサイト。
・SNSや他の媒体から不特定多数に向けて拡散されたウェブページの内容。


リスティング広告って❓

リスティング広告は、インターネットで検索するときに「おすすめ」として上に出てくる広告です。たとえば「動物病院」と検索すると、ある動物病院の広告「スポンサー」として一番上に表示されることがあります。動物病院や会社が「この言葉で調べた人に見てもらいたい!」と決めたキーワードを使って、広告を出しているからです。広告をクリックするとウェブサイトに飛び、広告を出した会社はそのクリックごとにお金を払います。検索した人が興味のある内容が表示される仕組みです!


なぜ広告規制が見直されたのか?

獣医療広告には以前から規制がありましたが、最近の医療現場を取り巻く状況の変化に対応するため、見直しが行われました。背景には次のような要因があります。

1.獣医療の進化と専門化の加速

診療技術の高度化や専門分野の細分化が進む中、飼い主さんが正確な情報を基に病院や診療を選ぶことがますます重要になっています。一方で、専門的な知識を持たない飼い主さんが広告に惑わされ、不適切な選択をしてしまうリスクも増えています。

2.情報発信手段の多様化

SNSやウェブサイトといったデジタル媒体の普及で、広告の形式や方法が従来とは大きく変わりました。特に、ウェブ広告は誰でも簡単にアクセスできる一方で、誇大表現や不適切な情報が拡散されるリスクも高まっています。こうした新しい情報発信手段に対応した規制が求められていました。

改正で何が変わる?押さえるべきポイント

改正では広告可能な事項が明確化され、注意すべきルールも増えました。特に重要だと感じたポイントをいくつかご紹介します。

1. 獣医師の専門性を広告できる

これまでは「専門医」や「認定医」のような資格を広告に明記することが制限される場合がありました。しかし、農林水産大臣が指定する団体の認定を受けた専門性については、広告が可能となります。
例えば、「獣医腫瘍科認定医」や「循環器専門医」といった資格は広告できますが、その場合、認定団体や資格内容を明確に記載し、飼い主さんに誤解を与えない工夫が必要です。ただし、獣医師個人の経歴について過剰に強調するような表現は引き続き禁止されています。

2.診療行為については条件あり

今回の改正では、診療行為に関する規制が特に強調されています。例えば、避妊去勢手術や健康診断、予防注射などの診療内容は広告可能ですが、その広告には条件が存在します。

診療内容について表示するには、①問い合わせ先、②主なリスク、副作用、③診療の内容、④費用を併記する必要があります。

また、「地域最安値!」や「この値段で安心!」といった費用を強調する表現は飼い主さんに誤解を与えたり、不適切な期待を抱かせる恐れがあるため引き続き禁止されています。

3.ウェブ広告も規制の対象

ウェブサイトは広告に該当しない場合が多いとされていますが、「誘引性」「特定性」「認知性」の3要件を満たす場合は広告とみなされ、規制の対象になります。例えば、検索エンジンのリスティング広告や、SNSの投稿のような不特定多数に向けた情報発信では、注意が必要です。

4.禁止される表現の具体例

誇大広告や比較広告は引き続き禁止されています。「治療の成功率100%」や「地域No.1」などのフレーズは、誤解を与えるためNGです。また、飼い主さんの体験談や治療前後の写真も、広告に含めることができません。
つい、治療の効果を分かりやすく伝えたいという思いから具体的な表現を選びがちですが、飼い主さんへ誤解を招く可能性があることを常に意識する必要があります。

掲載可能な内容とその注意点

獣医療広告では、飼い主さんに誤解を与えず、正確で役立つ情報を提供することが求められています。法律で認められている広告可能な内容は具体的に定められていますが、その一方で、注意すべきポイントも多くあります。ここでは、広告可能な事項と、それに付随する注意点をまとめました。

1.獣医師や診療施設に関する情報

広告で掲載可能な内容として、獣医師や診療施設に関する以下の事項が挙げられます。

  • 診療施設の名称、所在地、連絡先診療施設の基本情報は、飼い主が病院を探すうえで必要不可欠です。正確に記載しましょう。
  • 獣医師免許の登録年月日獣医師が正規の資格を持っていることを示す情報として、免許の登録年月日を掲載することが可能です。
  • 診療施設の開業日開業年を記載することで、診療実績を示す指標になります。ただし、実績を過度に強調する表現には注意が必要です。
  • 所属獣医師の学位や称号「博士(獣医学)(〇〇大学)」など。大学名を付記することで、飼い主さんにとって分かりやすい情報となります。
  • 役職や略歴「〇〇大学卒業」「〇〇動物病院で5年間勤務」。ただし、研修履歴や特定の団体の推薦に基づく表現はNG

2.診療科名や専門性に関する情報

広告では、診療科名や専門性に関する情報を掲載することが可能です。

  • 広く認知されている診療科の名称は掲載可能。広く認められていない診療科名や、誇張表現はNG
  • 認定を受けた専門資格 「獣医腫瘍科認定医(〇〇認定)」など、農林水産大臣が指定した団体による資格は広告可能です。

3.診療内容や医療機器に関する情報

広告可能な診療内容や医療機器の情報には、以下のようなものがあります。

【診療内容の例】

  • 犬猫の避妊去勢手術
  • 狂犬病予防注射やフィラリア予防「〇〇(品名)によるダニ予防が可能です。」などの、特定の医薬品の広告にあたる記載はNG
  • 健康診断の検査内容(身体検査、血液検査、X線検査など)
    「健康診断をしないと危険」のような飼い主さんの不安を煽るような表現はNG
  • 検査項目に獣医療に広く定着していない検査を記載する事はNG
  • 高度な診療内容(椎間板ヘルニア手術、白内障手術、細胞を用いた再生医療など)
  • 医療機器の情報(「X線CT装置」「超音波診断装置」など、一般的な名称)
    具体的な品名や型式番号、未承認の機器に関する記載はNG

上記以外にも多くの掲載例が「獣医療広告ガイドライン」に記載があります。各自確認してみて下さい!

おわりに

獣医療広告は、飼い主さんにとって病院や診療内容を選ぶ重要な情報源です。一方で、情報の伝え方次第では、飼い主さんが誤解をしたり、適切な選択ができなくなるリスクもあります。広告規制の見直しや最新のガイドラインに基づいて、私たち病院スタッフが発信する情報を正しく整えることは、飼い主さんとの信頼関係を築くために大切です。

広告可能な内容や禁止事項を理解し、適切な情報を提供することは、病院の責任であると同時に、飼い主の安心を支えるための第一歩です。誇張や誤解を生むような表現ではなく、正確でわかりやすい情報を発信することで、飼い主さんが心から信頼できる病院づくりを目指しましょう。

監修

西山奈都美

獣医師

パンダキャリアキャリアアドバイザー

CT完備の1.5次病院で4年間獣医師として奮闘。現在は獣医師・動物看護師の就職支援に携わっています。 現場の苦労や喜びを知っているからこそ、悩みに寄り添えます。次の一歩を一緒に考えましょう!

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