獣医師になるには?大学選びから国家試験までのリアル

はじめに
「動物が好きだから、獣医師になりたい」。
これは、私自身が小学生のころから抱き続けてきた想いです。実際に私立の獣医学部に進学し、国家試験を乗り越え、動物病院で働いた今でも、その気持ちは変わりません。
けれど、現実は甘くない——そう痛感したのも事実です。
獣医師を目指す道のりには、「動物好き」だけでは乗り越えられない壁がいくつもあります。大学入試という高いハードル、6年間におよぶ専門教育、国家試験、そして臨床現場でのプレッシャー。
この記事では、獣医師になるためのステップを、現役の獣医師としてのリアルな体験を交えてご紹介します。

獣医師になるには?|3つのステップを知ろう
獣医師になるためには、次の4つのステップを踏む必要があります。
- 高校卒業後、獣医学部のある大学に進学
- 6年間の専門教育を修了
- 国家試験に合格し、獣医師免許取得
つまり、第一関門は大学入試。 しかも全国に獣医学部がある大学は限られており、受験の倍率は非常に高くなっています。

ステップ1:大学受験の現実|獣医学部はたった17校
全国に獣医学部がある大学はたったの17校(2025年現在)。私立・国公立合わせて定員は約1,000人前後。それだけに入試の倍率も高く、現役合格は狭き門です。
ちなみに私は私立大学に進学しましたが、当時の感覚として「国公立志望だったが落ちた」という学生も多く、第一希望で入った学生は決して多くありませんでした。
💡 ここだけの話・・・
体感的な話ですが、私立大学は大講義室で100人以上の授業が行われることも多く、出席にルーズな学生も一定数いました。
一方で、国公立の同期の話を聞くと、少人数制のため出席管理が厳しく、学生間の距離も近い環境だと感じました。どちらが合うか、自分の学習スタイルや性格と照らし合わせて考えることが大切です。
| 大学名 | 学校区分 | 所在地 | 募集人数(2025年度参考) |
|---|---|---|---|
| 北海道大学 | 国立 | 北海道札幌市 | 約40名 |
| 帯広畜産大学 | 国立 | 北海道帯広市 | 約40名 |
| 酪農学園大学 | 私立 | 北海道江別市 | 約120名 |
| 北里大学 | 私立 | 青森県十和田市 | 約120名 |
| 岩手大学 | 国立 | 岩手県盛岡市 | 約30名 |
| 東京大学 | 国立 | 東京都文京区 | 約30名 |
| 東京農工大学 | 国立 | 東京都府中市 | 約35名 |
| 日本獣医生命科学大学 | 私立 | 東京都武蔵野市 | 約120名 |
| 日本大学 | 私立 | 神奈川県藤沢市 | 約120名 |
| 麻布大学 | 私立 | 神奈川県相模原市 | 約120名 |
| 大阪公立大学 | 公立 | 大阪府大阪市 | 約40名 |
| 岐阜大学 | 国立 | 岐阜県岐阜市 | 約30名 |
| 岡山理科大学 | 私立 | 愛媛県今治市 | 約140名 |
| 鳥取大学 | 国立 | 鳥取県鳥取市 | 約30名 |
| 山口大学 | 国立 | 山口県山口市 | 約30名 |
| 宮崎大学 | 国立 | 宮崎県宮崎市 | 約30名 |
| 鹿児島大学 | 国立 | 鹿児島県鹿児島市 | 約30名 |
💡 大学選びで知っておきたい2つのポイント
・国公立大学:学費は安い(6年間で約350万円)が、共通テスト+二次試験での高得点が必要
・私立大学:学費は高い(6年間で1,200〜1,500万円程度)が、受験方式が多様
私も私立大学に進学しましたが、経済的な負担は決して小さくありませんでした。学費面も含め、家族としっかり話し合っておくことが大切です。
ステップ2:6年間の学び|座学と実習のギャップに苦しむ
獣医学部のカリキュラムは、座学と実習で構成されます。
【1〜2年】基礎獣医学で心を折られかける
生物、化学、物理に加え、犬猫・牛馬・鳥類の解剖学や生理学。正直、ここが一番きつかったです。特に、試験前の「骨の名前全部覚える地獄」は今でも忘れません。
【3〜4年】病気のメカニズムを理解してやっと面白くなる
この頃から「病理学」「感染症」「内科学」など、病気や治療に近づいた内容に。私の場合、「動物の病気を理解する」ことに面白さを感じはじめたのもこの時期でした。
【5〜6年】病院で突きつけられる自分の無力さ
附属病院や外部病院での実習。最初は「診察見学」から始まります。
ただ、ここで感じたのは、「6年も学んできたのに、病気が全然わからない…」という現実。授業で学ぶ内容は本当に基礎!ここから先も学びの連続だなと肌身で感じました。

ステップ3:国家試験と卒業試験のダブルプレッシャー
国家試験(第76回/2024年度)
- 受験者数(新卒):1,047名
- 合格者数:877名
- 合格率:83.8%
「合格率が意外と高い」と思うかもしれませんが、ここに来る前に卒業試験で脱落する学生も多いんです。
私は卒業試験直前の3ヶ月は、10時から18時まで図書館にこもり、帰宅後も勉強。1日10時間以上勉強しました。緊張で震えながらも、「ここまで来た自分を信じるしかない」と腹を括ったのを覚えています。
(農林水産省 第76回獣医師国家試験(令和6年度)の結果について https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/250312.html)
獣医師免許を取った後の進路
獣医師=動物病院、というイメージが強いかもしれませんが、実際には以下のような多様なキャリアパスがあります。
主な進路の例
- 小動物臨床:犬猫エキゾチックアニマルなどの町の動物病院勤務
- 産業動物臨床:牛・豚・鶏などの畜産動物を診る
- 公務員獣医師:保健所、食肉衛生検査所、動物検疫所など
- 研究者・製薬企業:創薬、安全性評価、ワクチン開発など
- 大学院進学:研究職やPhD取得を目指すケースも
私自身は小動物臨床を選びましたが、「こんな働き方もあったんだ」と卒業後に知ることも多くありました。
一般企業への勤務を希望する場合は、就職活動と定期テスト期間が被り、テストの合間で面接を受けるなど、かなりハードな日々を送る必要があり、ガッツが必要ですね💦

「獣医師になりたい」を行動に移すには?
獣医師になるには、決して簡単な道のりではありません。 けれど、「動物の命を守りたい」「人と動物の幸せをつなぎたい」という想いがあるなら、決して乗り越えられない壁ではないとも感じています。
まずは、獣医学部のある大学のオープンキャンパスや説明会に足を運んでみてください。 実際の雰囲気や学びの深さに触れることは、モチベーション維持にもつながります。
キャリアに迷ったら相談を|学生向けサポートもあります
私たちは、獣医師・動物看護師に特化した人材紹介サービスとして、学生時代からのキャリア相談にも対応しています。
- 臨床か研究か、公務員かで悩んでいる
- 自分に合った大学・職場が分からない
- オープンキャンパス後に気になることがある
など、どんなことでもご相談ください。私も、「もっと早く相談していたら、違う選択肢もあったかもしれない」と思ったひとりです。
あなたが後悔しない一歩を踏み出せるよう、現場を知る私たちがサポートします
監修
西山奈都美
獣医師
パンダキャリアキャリアアドバイザー
CT完備の1.5次病院で4年間獣医師として奮闘。現在は獣医師・動物看護師の就職支援に携わっています。 現場の苦労や喜びを知っているからこそ、悩みに寄り添えます。次の一歩を一緒に考えましょう!